DVD 病の起源 心臓病〓高性能ポンプの落とし穴〓 その1
2015-03-04


みんな選挙に関わりだして、暇になったので、少し「医療シリーズ」をお送りします。
 今回は「心臓」です。何回かに分けてお送りします。

○  人は、なぜ心臓病になるのか?

 5千年前に栄えた古代エジプト文明。人々は死者の体をミイラとして保存した。この時、全身の臓器は取り出したものの、ある臓器だけは体に残していた。心臓だ。心臓は、魂が宿る臓器だと考えられていたから。
 医師たちがこの太古の心臓を調べたところ、心臓病の起源が明らかになってきた。
3千5百年前の王女のミイラは、心臓を動かすために必要な血管が傷んでいた。外科手術が必要なほどひどい状態で、現在ならきっと心臓病と診断されるだろう。痕跡は、ほかのミイラからも見つかった。人類は、古代文明の時代から心臓病に苦しんでいたのだ。

 700万年前、アフリカで誕生した私達人類。過酷な環境を、知性を武器に生き抜き、高度な文明を築き上げてきた。しかし、その陰で私達の体には病気の種が埋め込まれていた。
 心臓の働きに異常が起き、突然私たちの命を奪う心臓病。今や世界の死因の第一位。毎年700万人以上が亡くなる恐ろしい病。

 それは700万年前、重力に逆らい二本の足で立ち上がったことに始まった。下半身にたまりやすくなった血液を全身に巡らすため、心臓は負担を強いられるようになった。
 人類進化生物学者は、「進化の過程で、ヒトは心臓病を発症しやすくなりました。生まれながらにして、心臓病のタネを抱えているのです。」と語る。
 今、最先端の科学によって、弱った心臓を蘇らせる新たな治療法の開発が進んでいる。そして足を動かす運動が、立ち上がった人類の弱点を補うこともわかってきた。心臓病の秘密に迫る。

○ 進化が生んだ高性能ポンプ

 心臓は毎日、ドラム缶40本分の血液を全身に送り出している。私たちの命を支える心臓をより詳しく探ろうとする試みが始まっている。
〓放射線医学総合研究所〓
 世界で始めて、心臓の動きを立体的に、しかもリアルタイムで捉えられる装置。その映像により、筋肉や血管が1秒ほどの周期で規則正しく動いていることがわかる。
 心臓は、1日におよそ10万回も拍動し、全身に血液を送っている。心臓内部の映像では、白く映る部分の筋肉が収縮し、血液を送り出している。その収縮を担っているのは、一つ一つの筋肉細胞で、およそ80億個が一定のリズムで動くことで、力が生み出されている。
 心臓が血液を送り届ける血管の長さは、10万キロ。地球2周半に及ぶ。私たちの命は、この高性能なポンプ・心臓によって支えられている。

○ 人類の心臓はどのようにして生まれたのか?

 3億年前 地上を支配していたのは、爬虫類。この爬虫類から心臓の進化を読み取ることができる。
 アメリカ ユタ大学 進化生物学ファーマー博士は、心臓の進化について研究している。調べているのは、ワニやイグアナ、カメなど3億年間生き抜いてきた爬虫類の心臓。
 爬虫類の心臓は、のどに近いところにある。哺乳類の心臓とは明らかに違う。特徴は筋肉の構造にある。筋肉は、すべてスポンジ状になっていて、たくさんの穴が空いている。筋肉の密度が低いため、大きな力は生み出せない。そのため、爬虫類は活発に動き続けることが出来ない。
 2億2千年前、私たちの祖先、哺乳類が誕生した。最古の哺乳類アデロバシレウス。体調わずか10センチほどのか弱い存在だった。天敵から生き延びるには、高い運動能力を必要とした。それを可能にしたのが、進化した心臓。当時の哺乳類に姿・形が近いラットの心臓は、大きく進化していた。哺乳類の心臓は、筋肉が厚いことが特徴。そして筋肉はスポンジ状ではなく、細胞の密度が高い。哺乳類の心臓の筋肉は、細胞がぎっしり集まった強靭なものになった。

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[医学一般]

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