2016-02-23
最近、医療について、すこしまとめて考える機会がありましたので、書いてみます。
しかし書いている本人は、医療の資格者でもないですし、特別な専門家でもありませんから、どちらかというと、高血圧と高脂血症の患者的視点であることをお含みください。
連合総研の「看護職員の労働時間問題に関する研究委員会 報告書 2013年10月」には、次のような指摘があります。
「24時間医療を提供する病院においては、夜勤・交代制勤務は避けては通れない。しかし、夜勤・交代制勤務は少なからず健康上・安全上・生活上のリスクを伴うものである。人間はそもそも昼間活動して夜には睡眠を取るようになっている。夜勤はその生理に反しており、同じ時間働いたとしても昼間に働く以上に心身への負担は大きい。夜間に睡眠が取れず、交代制で生活のリズムが作りにくいことから、睡眠不足となったり、睡眠を取れてもその質が悪く、十分に疲れが取れないまま次の勤務が始まってしまうことになる。
こうして疲労が蓄積されることにより、注意力・判断力の低下が起き、安全面でのリスクも高まる。さらに中長期的には、循環器系機能への負担や発がん性のリスクも指摘されている。また、通常の日勤者と違うサイクルで生活していることから、社会参加や家族との時間が確保できないなど社会生活上でのリスクもある。」
そこで、いろいろ調べてみました。まず、離職率です。2011年の日本看護協会調査では、常勤看護師で11%程度でしたが、大都市部や大病院ほど離職率は上がる傾向にありました。これは、その他の産業と比較すると、離職率自体は低い水準にあり意外な結果です。ちなみに製造業などでは、15〜20%程度の離職率ですが、最近の傾向としては、大企業で離職率が上昇しています。ただ、看護師離職の特徴として、1ヶ月に夜勤が72時間を超える病院は13%と高くなってるようです。(新卒者の離職率は大卒でも4〜5割と高止まりしています)
なぜ、離職に関心を示したかというと、看護師の労働環境悪化には、かなり前から最大の要因として定員不足があって、「看護師等人材確保促進法」ができ、都道府県には「ナース・センター」が設置されて、看護師資格者の登録制度もスタートしつつありますが、一方で、夜勤の上限とされる「月あたり72時間」の規制が緩和されてしまう(2016.2.10中央社会保険医療協議会 総会(第328回))など、定員不足と労働環境悪化の「負のスパイラル」が深刻化しているからです。このことは、結局、医療労働者の心身の摩耗と医療事故につながることになります。
団塊世代が後期高齢者となる2025年問題はどうなるか
さらに、「2025年問題」があります。これは、2025年までに団塊の世代(1947〜49年生まれ、約660万人)が、後期高齢者(75歳以上)になることにより、医療や介護のニーズが爆発的に増えることへの対応をどうするかのことですが、東京圏で175万人、北海道でも20万人増加し100万人を突破するとの予測があります。
これについては、北海道医療計画や介護計画で対応が進められることになっていますが、医療計画では人口全体の減少を理由に、むしろ2025年には1割程度病床数を削減するとなっています。病床数を抑制して医療支出を削減する狙いがあるからで、老健や介護施設を含む「在宅医療」を増やし、ADL(日常生活動作)の回復に向けたリハビリの報酬引き上げもその一つです。
その結果、医療施設以外の訪問看護やリハビリに看護資格者などの人的資源が向かうことになりますが、一方の患者の立場としては、24時間常時サービスが受けられるかとの疑問や不安が大きくなります。また、医療労働者にとっても、雇用の不安定化にもつながりかねないものであり、制度の検討を今後も続ける必要があります。
児童生徒の減少による学校の統廃合と人口総数の減少による医療機関(ベット数)の削減は、同じ動機によるものであり、決して「よりよい状態を目指す」ものではありません。
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