2015-06-25
あんまり毎日書くと、ネタがなくなってしましますが、まぁそれまでがんばって書きます。あまり反応がないから、ほとんど読んでいただけないのでしょうが。
今回は、3月に開催された標記の研修会から、「胸膜中皮腫のケア」について、聖路加国際大学のN先生のお話です。
その前に「胸膜中皮腫」について。
しかもその前に「中皮について」。
「中皮」とは、肺や心臓などの胸部の臓器や、胃腸・肝臓などの腹部の臓器は、それぞれ、胸膜、心膜、腹膜と呼ばれる膜に包まれ、体の内面もこれらの膜でおおわれています。この薄い膜には、「中皮(ちゅうひ)細胞」が並んでいます。元々は、受精卵が細胞分裂した経過の中で、外皮・中皮・内皮と分かれていくのだそうですが、素人にはよく分かりません。
「中皮腫とは」と言うことですが、中皮細胞から発生するがんを「中皮腫」といいます。その発生する場所によって、胸膜中皮腫、心膜中皮腫、腹膜中皮腫などがありますが、いわゆる「悪性」腫瘍です。
中皮腫は、1ヵ所で大きくなっていくタイプ(限局性:げんきょくせい)と膜全体に広がっていくタイプ(びまん性)があります。多くがびまん性に広がっていきます。
中皮腫は、そのほとんどがアスベスト(石綿:せきめん・いしわた)を吸ったことにより発生します。アスベストを扱う労働者だけでなく、労働者の家族やアスベスト関連の工場周辺の住民にも発生しています。アスベストにさらされること(曝露:ばくろ)が多いほど、またその期間が長いほど発症の危険性が高くなります。
1.中皮腫の特徴
ばく露後の25〜50年(平均40年程度)が潜伏期間ですが、発症後は余命が短く、診断時から平均9〜13ヶ月で死亡します。ただし早期発見により完治もあります。5年生存率は4〜10%くらいと、非常に厳しい疾患です。
中皮腫は、複雑な症状が重複して出現します。
胸痛、咳(せき)、大量の胸水(きょうすい:胸腔内に液体がたまること)による呼吸困難や胸部圧迫感。原因不明の発熱や体重減少などですが、いずれも中皮腫に特徴的な症状とはいえず、早期発見が難しいことになります。
ADL(日常生活動作)は比較的保たれ、最後まで話ができることが多いといわれています。
そのほとんどは、アスベストが原因です。胸膜、心膜、腹膜、精巣漿膜にできやすいということです。喫煙は影響しません。( ホ!)
2.治療
外科的療法としては「胸膜肺全摘術(EPP)」があり、「1A」では完治例もありますが、患者の2割程度だそうです。
術前には、EPP選択の支援、術後の生活(QOL低下・呼吸困難(96%)・激しい痛み(91%))の説明、不安への対処が必要となります。
術後は、痛みの管理(不眠等による精神的管理(不安(31%)・うつ(19%))、心房細動に注意する、生活の立て直し(便秘〜横隔膜の切除、動悸、痛みの軽減、食事など)などのケアが必要です。
内科的には化学療法があり、患者の8割はこちらですが、エビデンスがあるのはシスプラチン+アリムタ(ともに抗がん剤)のみであり、症状が改善すれば希望が多くなりますが、結果は大きく変わらないようです。
中皮腫と肺がんでは、症状の重篤度が違い、息苦しさは中皮腫96%、肺がん65%であり、また、痛みも中皮腫91%、肺がん28〜51%と、中皮腫の方が重篤です。
3.呼吸困難へのケア
1)症状の意味を理解する→
2)あらゆる身体的な原因に対処する→
3)症状の認知をやわらげる
「呼吸困難」の原因は、胸水、肺活量の低下、肺の癒着であり、そのほか、心のう液貯留、貧血、心不全、不安で、一番大きいのは「不安」です。
呼吸困難はsO2(血中酸素濃度)など生理的データとは無関係に、患者が「苦しい」といえば呼吸困難の対処が必要です。
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