2015-09-24
◎ 不眠症で死んだ人はいない
人間にとって睡眠は非常に大切なものです。不眠症の人は、大切な睡眠を十分にとれない日々が続いている状態を非常に心配します。そして中でも極端な人は「もしかすると、このまま眠れない日が続けば、自分は死んでしまうのではないか」などと考えるようになります。
安心してください。いまだかつて、不眠が原因で死んだ人は一人もいません。不眠がいくら続いたとしても(多くの場合、実際には本人が気づいていないだけで眠っています)連日24時間体勢で肉体的拷問を受けるなどの極めて異常な状況でない限り、人間は死ぬ前にまず眠ってしまいます。本能的に人間は自分の命を守ることを優先しますから、死という最悪の事態を避けるためにも身体を強制的に眠らせてしまうのです。
死んでしまうかもしれない、といった過度の恐怖心がさらなるストレスとなり、ますます眠れない状態に自分自身を追い込んでしまいます。「いくら眠れなくたって、死ぬことはないんだから、気楽に考えよう」と開き直ってしまうことが案外効果があります。悩まなくなった瞬間に安心して、眠りに落ちるという不眠症患者は少なくありません。
◎ 不眠症になる人、ならない人
不眠症になる原因の代表的なものに人間関係のストレスがあります。職場の上司とうまくいかない、夫婦の関係がぎくしゃくしている、子どもと会話が成り立たない、などの悩みをお持ちの方は決して少なくないはずです。こうした人間関係の問題は、非常にありふれているとも言えますが、こうした原因によって不眠症になってしまう人がいる一方で、まったく気にせずよく眠れる人がいます。
つまり、同じような状況にいても、不眠症になってしまう人とならない人がいるということです。なぜこのような違いが出てくるかということについて明確な答えが用意されているわけではありませんが、性格的な違いが原因だと考えられます。負けず嫌いで自己主張が強く、そのくせいつまでも感情を引きずってしまうタイプの人は、人間関係が原因で不眠症になりやすい傾向があります。逆に、サバサバした性格で、人間関係で不愉快なことがあっても、ベッドに入ればそんなことはすっかり忘れてしまい、一晩寝たらまったく気にしていないというあっさりした方は、不眠症になることはありません。
性格は変えられないと思い込んではいけません。人間はいつからだって、自分自身を変えることはできます。人間ですから悩みがあるのは当たり前です。しかし、その悩みに睡眠を邪魔されてしまっては、自分が損をするだけでいいことは一つもありません。寝るときは不愉快なことをきれいさっぱりと忘れる、という練習を少しずつやってみてください。こうした頭の切り替えがだんだん上手になってくれば、ストレスが原因で眠れなくなることもなくなり、朝までぐっすり眠れるようになるでしょう。
◎ うつ病の不眠症は、本当に眠れない
不眠症を訴える人の多くは、自分ではよく眠れていないと思っていても、多くの場合に実際はよく眠っているわけですが、これは神経症性の不眠症患者に限った話です。
うつ病性の不眠患者の場合は、本人が眠れないと主張するのに加えて、家族や医師が実際に観察してみると本当に眠れていないのです。短期的に寝ている間も脳は睡眠状態になれず、2〜3時間眠るともう目が覚めてしまい、眠れなくなってしまいます。眠気がないから眠れない、というのではなく、眠いのに眠れないという最悪の状態になります。
うつ病性の不眠症の場合、食欲減退、体重減少といった症状が出ます。うつの人は日中変動といって、一日の中でも時間帯によって非常に激しく気分が移り変わります。午前中はずっと低調でどんよりした雰囲気だったのに、夕方くらいから急に人が変わったように明るく活発になる、といった具合です。このように不安定な精神のため、自分の不眠症を深刻に悩み苦しんで、最悪の場合自殺を図ることもあります。
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