シリーズ 睡眠について その6 不眠症の1
2015-09-18


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そうした自称不眠症の患者さんを納得させるためには、睡眠障害専門のクリニックで一晩眠ってもらい、熟睡している様子をビデオに撮影してその映像を本人に見てもらうのが最も効果的です。自分がぐっすり寝ている映像を見せられて、あなたは実際は眠れていますから心配ありませんよ、と医師に説明されるとようやく納得します。そうすると不思議なもので、これ以上の「治療」は一切しなくても、不眠症は治ってしまうというケースがめずらしくありません。不眠症の原因は、患者本人のこころの中にあることが少なくないのです。

◎ 不眠症の4つのタイプ

 一般的には「不眠症」という言葉で知られていますが、医学的には不眠症という睡眠障害は、大きく4つのタイプに分類することできます。不眠症に悩んでいる人が医師に相談するときは、自分がどのタイプに該当するのかを事前に考えておいてください。

■入眠障害タイプ
 入眠障害タイプとは、いわゆる「寝つきが悪い」というもので、不眠症を訴える人の多くはこのタイプに該当します。
 寝る直前に仕事のメールをチェックしたり、心配事や悩み事について一人でじっと考えたりすると、寝つきが悪くなるのは当然です。寝つきが悪いと、頭の中にいろいろな考えが次から次へと浮かんできます。仕事や家庭の心配事で精神的に後ろ向き、内向きになっているときは、まるで連想ゲームのように、どんどん悪い方向に考えが進んでいってしまうものです。「明日も仕事だから、よく眠らなくてはいけない」などと考えると、焦りによってかえって目が冴えてしまうといった経験は誰にもあると思います。ベッドや布団に入ってからは、いろいろと考えをめぐらせるのをやめる、というのが解決策ですが、なかなか簡単にできることではありません。
 入眠するまで常に1時間以上かかる場合は入眠障害だと言えるでしょう。ベッドに入ってから何時間も寝つけない、と自覚症状があるのはとても苦痛です。それが毎日続くのであれば、それは明らかに睡眠障害です。眠りに落ちるまでに毎晩数時間もかかる場合は、入眠障害の恐れがありますから医師に相談してください。

■中途覚醒タイプ
 眠りに落ちることはできても、夜中に2回以上目が覚めてしまい、すぐにまた眠りに戻れないタイプです。眠りが浅く、ぐっすり熟睡した満足感がないのが特徴で、睡眠時無呼吸症候群、うつなどの精神疾患、ストレスなどが原因として考えられます。
 特に中高年齢期になると、睡眠の質がどうしても落ちてきます。深いノンレム睡眠が減り、夜中に何度も目が覚めてしまうなど、熟睡が朝まで持続しない浅い眠りとなってしまいます。
 規則正しい生活リズムを取り戻し、食生活にも十分に配慮をした上で、睡眠と覚醒の切り替えにメリハリをつけるようにすれば、たとえ年齢を重ねていたとしても、若い人と同じようにぐっすり熟睡して朝まで続けて眠れるようになります。

■熟眠障害タイプ
 いわゆる「眠りが浅い」というタイプのことです。朝まで熟睡した、という満足感がないため、自分は不眠症だと考えてしまいます。まだ若いのに必ず夜中にトイレに何度も起きるという方もいますが、トイレから帰ってきてまたすぐに眠ってしまうのであれば、熟眠障害と呼ぶ必要はないでしょう。夜中にトイレに起きてしまうと、意識が冴えてしまって眠れなくなってしまう、あるいは家族のいびきで毎晩のように夜中に起きてしまい、一時間ほど寝付けないといったケースは、熟眠障害の可能性があります。うつなどの精神疾患が原因である場合もあります。

■早朝(早期)覚醒タイプ
 自分が起きる予定の時間よりも何時間も早く目が覚めてしまい、眠りたいのに眠れなくなってしまうタイプのことです。高齢者やうつの患者によく見られる症状です。

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